2010年11月8日月曜日

医療ツーリズム

本日のクローズアップ現代で、「医療ツーリズム」の特集をやっていました。

みなさん、医療ツーリズムってご存知ですか?
日本では国際認定があって受け入れ実績が多いのは
房総半島の、海べりにある某K病院だけなので、
まだあまり耳になじまない言葉だと思うのですが…。
(みかわんさん、実際どんな様子なんですかね?)




端的に言うと、
「医療を産業とみなして、外貨を稼ぐツールにしましょう」
「日本国内へお客さんをお招きして健診や治療をサービスとして提供します」
というようなことを、経済産業省?が主導で進めているのです。

あれ?
医療の管轄は厚生労働省ではなかったのですか!!
とびっくりしました。


たとえば台湾では生体肝移植が得意です、とか
国によって得意分野、お家芸があるようです。
イノベーションや技術研鑽と考えれば、どんどんやってくれ、と思わないではありません。


しかし、医はいつから算術になったのでしょう?

医療ツーリズムの受け入れ先進国タイ。
ツーリズムを推進するホテル並みの豪華な病院に中堅以上の医者が集中。一方国民の医療を担う公立病院は野戦病院状態。ベッドの横に簡易ベッドを出して患者が横たわっています。機械も壊れていてレントゲンが写ってませんでした。3年目くらいの研修医が、カーテンもない診察室で2人で外来患者を次々と「さばいて」いる様子が放送されました。彼らは「ろくな指導も受けられず心配です」とコメント。
給料はこの病院とツーリズムを受け入れている病院では5倍ほど違うそうです。


「どんなに忙しくても、給料が安くても設備が悪くても、仲間がいなくても、指導もなくっても、頑張ります」って、普通言えますか? 何年間頑張れますか?
情熱と正義感だけでは何事も続かないのです。



ゆえに、このツーリズムの制度、日本で本格的に始動すればすでに崩壊している地域医療に、あっという間にとどめをさすのではないか、と危惧しております。


当院でも、指導医のK先生とかS先生とかが「転職するから、じゃっ、お前ら頑張れ」
といなくなってしまったらと思うとぞっとしますね。

1 件のコメント:

  1. ご指名いただきました、みかわんです。
    医療ツーリズム、批判もあるようですが・・・。
    まず実際には実感はありません。ただ、私が所属している腫瘍内科には中国の方も、アメリカの方も患者としてくることがあるので、あまり違和感はありません。ツーリズムとの捉え方ではなく、この病院のサービスと医療を目的としてきていると考えています。この病院は、房総地域を越え関東や東京から、その先日本国中から、その先、国境を越えて患者さんが来ている、それを対外的に「積極的にアピールし広報する」そういうことと思っています。
    同時に、私もかかわっていますが、房総地域を支える唯一の病院として「住民が安心して過ごせる」「老人が寂しくない」そんな地域づくり、病院はインフラの一つにすぎないという考え方もこの病院にはあります。
    医療ツーリズムは本格的に始動「しようがない」のが現状であるのではないでしょうか。病院間の格差は広がる一方で、創意工夫をしていかないと生き残ることができないのは、山梨県でも顕著になってきているのではないでしょうか。その目標が、国境を越えた、ただそれだけなきもします。

    算術ではありません。現に当院もお金の状態はぎりぎりの状態で仕事をまわしているそうです(よくしりませんが)。当院がつぶれればこの房総地域はだめになる、そういう危機感を持っての生き残り策というのが実感です。

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