一年目研修医ささかまです。
先日、夜の医局でのインフルエンザワクチンをめぐる一騒動をご紹介します。
この時期、医局員はインフルエンザワクチンを互いに打ち合い、来るべき猛威に備えます。
しかし先月から二ヶ月間、他病院で研修をしている私は、このワクチン接種の波に乗り遅れていました。
このワクチンは2人分が一瓶に入っているため、未接種者が2人揃わないともったいなくて使えないのです。
そんな或る夜。
雑然と物がちらばる何の変哲もないいつもの医局で、奇跡のめぐりあわせが起きました。
その夜、医局にいたのは、ワクチン接種推進派の小児科・鶴田医師と、ワクチンを打てずに困っている私、そしてそこに現れた第三の人物、注射がきらいでワクチンを避け続けていた消化器内科Dじろう先生!
私をインフルの脅威から守る救世主かつ、私のワクチン接種手技のいけにえ。
まずは鶴田先生が、私にワクチンを打ちながら指導をして下さいました。
それをお手本に、次に私がDじろう先生に打つことに。
筋注する気でいた私のおぼつかない手元を見ながら、本気でいやがるD先生。
その本気っぷりが面白くて余計に手元が震える私。
とりあえず刺してごらん、とあたたかく見守る鶴田先生。
皮膚をつかんで、針を皮内にサッと刺し、迷いなくワクチンを注入し、スッと抜く。私の渾身の一刀の甲斐あり、D先生はその夜、緊急内視鏡に呼ばれ少々痛みの残るその腕を振るうのでした。